フェイスブックが発行を予定している仮想通貨、「リブラ」の発行を延期すると、FBのザッカーバーグCEOが発言しました。
発表直後から大きな反響を呼んだ「リブラ」ですが、今回の発表に至ったのはどうしてでしょうか。
「リブラ」の特長を改めて見直し、今後の見通しについて調べてみました。
リブラの発行延期 FBトップが発言
yahoo!ニュースによると…
フェイスブック ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)「フェイスブックは、米規制当局が認めるまで、世界のどこにおいても『リブラ』発行に関与しない」
フェイスブックのトップ、ザッカーバーグCEOは23日、アメリカ議会で証言し、個人情報の漏えいなどに対するアメリカ規制当局の懸念を解消するまで、全世界で「リブラ」を発行しない考えを示した。
2019年6月の発表時点では、2020年前半の発行を計画していた。
一方で、「中国は迅速に動いていて、あと数カ月で似たような構想を打ち出すだろう」と警鐘を鳴らし、アメリカを発信源とする技術革新の必要性を訴えた。
yahoo!ニュース
アメリカ規制当局が情報漏洩などに対する「リブラ」への懸念がなくなるまで、要はアメリカ規制当局がOKを出すまで「リブラ」の発行はしない、ということのようですね。
リブラの発行延期 その理由は?
そもそも、仮想通貨事業への参入を発表した時から大きな反響のあった「リブラ」。
大きな期待が膨らむ反面、セキュリティー面への不安は当時も各方面から指摘されていました。
なぜならば、2018年9月にも5000万人の個人情報流出を明らかにしたフェイスブック。
仮想通貨を扱うとなれば、セキュリティー面に関心が行くのは当然のこと。
また、全世界で23億人ものユーザーをもつフェイスブック。
そのユーザー間での送金が可能になり、資産の保管が可能になるというと、現存の銀行が破綻する恐れもあります。
アメリカ規制当局が懸念を示すのは仕方がないことともいえます。
リブラの発行延期 仮想通貨リブラの特長は?
ところで、FBの発行する仮想通貨「リブラ」にはどんな特長があるのでしょう。
すこし、見てみましょう。
世界のインフラ
「リブラ」はフェイスブックが作成する仮想通貨です。
仮想通貨といえば、ビットコインが有名ですね。
そのほかの仮想通貨もありますが、どの通貨も価格変動が激しく、投資・投機のイメージが強いですよね。
でも、「リブラ」はこれまでの仮想通貨とは違い、価格変動が起こりにくい設計にし、「世界共通のお金」を実現させようとしているのです。
では、なぜ「リブラ」は価格変動しにくいのでしょう?
これまでの仮想通貨には、発行を行う上で裏付けされた資産がなく、需給で価格の変動が起こるようになっています。
「リブラ」の場合は、これらの通貨と違い裏打ちされる資産、つまり法定通貨(アメリカドルや日本円)があるので需給にかかわらず価格の変動が起こりにくいのだそうです。
だとすれば、現状の法定通貨と何が違うのか、という疑問も出てきますよね。
フェイスブックによると、「リブラ」を発行する目的は世界のインフラを整えるため、だそうです。
たとえば、日本やアメリカなどの国では、法定通貨である日本円やアメリカドルを銀行などに預けるのが当たり前になっていますが、世界では銀行口座を持たない人も多くいます。
その数、なんと約17億人!!
仮想通貨はデジタルな通貨なので個人個人で簡単に保管や管理が行え、銀行口座を持たなくても資産を保管できるようになるのです。
具体的に言えば、出稼ぎにきた外国人が母国に送金する際、銀行口座がなければその都度帰国して換金して渡さなければなりません。
また、仮に銀行口座があったとしても、国際送金では手数料が数千円かかり、手元に届くまで数日かかったりします。
これが「リブラ」でできるようになると数円から数十円の手数料で数分で手元に届くようになるのです。
コンビニ決済
もうひとつの特長は、決済面です。
「リブラ」の協力団体にはアンカレッジなどの決済が絡む企業や、大手eコマース、クレジット会社なども名を連ねていて、様々な決済で「リブラ」の活用ができそうです。
また、コンビニなどで手軽に換金できることも目指しており、スマホをかざせば現金がでてくる、ということも可能性があるようですよ。
リブラの発行延期 リブラ発行の今後の見通しは?
魅力的な仮想通貨「リブラ」ですが、今回フェイスブックCEOのザッカーバーグ氏は「米当局から認可を得られるまで全世界で発行に関与しない」と話しました。
当初、2020年前半の発行を目指すとしていましたが、その積極性は少し後退したようです。
運営組織の加盟社は設立当初30法人ありましたが、現在は21法人になっています。
大手クレジット会社のビザやマスターカードも脱退を表明しています。
これは、ザッカーバーグ氏本人が言う通り、「リブラにリスクがあると考えた」ためでしょう。
しかしながら、一方でザッカーバーグ氏は中国が仮想通貨で先行する可能性に危機感も示しました。
アメリカが失敗を恐れずにイノベーションに果敢に取り組むべきだとの認識も強調しています。
IT分野でもすさまじい進化を遂げている中国。
「リブラ」が目指す「世界のインフラの基盤」の座を中国に牛耳られてはならない、といったところでしょうか。
安全性の危惧だけでなく、既存銀行の破綻の懸念をも乗り越えられるのか、それとも中国の仮想通貨分野での先行・独占を許すのか。
今後の動向に注目しましょう。
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