ラグビーW杯日本大会は11月2日、決勝が行われ、準決勝でオールブラックスを破り、現世界ランク1位のイングランドは同3位の南アフリカに敗れました。
南アフリカは一次リーグB組の初戦でニュージーランドに13-23で敗れており、一次リーグで一つでも負けたチームは優勝できないといわれていた言い伝えをやぶり、W杯でニュージーランドに並ぶ3度目の優勝を成し遂げました。
イングランドの準優勝は3度めで、フランスに並んで最多です。
世界から称賛される名将 エディー イングランド完敗
試合は、南アフリカの4PG、イングランドの2PGと、双方にトライのないまま12-6で前半を折り返します。
後半もさらに二本ずつのPGを加えますが、ついに後半26分、南アフリカがトライを決めます。
その後1トライを決めた後、33分に決定的な3トライ目をWTBコルビが決め、試合を決定づけました。
準決勝で王者イングランドに、らしい仕事をさせずに勝利したエディーHC率いるイングランドは、トライを決められないまま試合を終えました。
世界から称賛される名将 エディー 日本・イングランドでの足跡
前回のラグビーW杯イングランド大会のあとから、エディーさんはイングランド代表のヘッドコーチを務めています。
そう、日本を率いて「史上最高の番狂わせ」を演じたその直後です。
世界で最も優れたヘッドコーチといわれているエディー・ジョーンズさんはオーストラリア人ですが、日系の母を持ち、日本人の妻を持つ、日本にとてもゆかりのある人物です。
彼は、幼いころからラグビーに親しんでいましたが、体が小さいので、当時からいろいろと考え、頭を使って作戦を練る習慣がついていたそうです。
白人が中心の世界で、いじめられることも多く、スポーツで勝って認めさせたいとの思いも強くあったそうです。
また、教壇にたって生徒たちに教える立場でもあったことが、現在の指導者としての原点にもなっているようです。
「ジャパン・ウェイ」
エディーさんがHCについたころ、日本の選手たちは国際試合で負け癖がついていたといいます。
その負け意識を変えるべく「ジャパン・ウェイ」という戦術を示しました。
俊敏性、フィットネス、スタミナの3要素を基礎として、そのうえで日本人の特性を活かし、トレーニングもチームの在り方も、日本独自のものを考案して取り入れたそうです。
そして、「世界一のハードワーク」をこなしました。
環境づくり、ハードなトレーニングを自分自身で考え、実際に戦うときの判断力をつけさせました。
自分たちに自信を持った日本は、国際試合で結果を出せるようになり、前回のイングランド大会で予選プール3勝を挙げます。
南アフリカに勝ったことに世界中が驚きました。
だって、その前の20年間に、W杯でたった1勝しかしていなかったのですから。
前回大会では惜しくも目標としていたベスト8はなりませんでしたが、選手たちは大きな自信をつけ、さらに強くなり、今大会の快進撃に繋がっていきます。
「どうせ勝てない」と負け癖のしみ込んだ日本選手の心に、十分な準備をすれば目標を達成できるとの自信を植えつけたからです。
イングランドの立て直し
前回大会、イングランド代表は地元開催だったにもかかわらず、決勝トーナメントに進めませんでした。
その屈辱は事件ともいえるほどだったようです。
そのイングランドを立て直すために招聘されたのが、「世紀の番狂わせ」南アフリカに歴史的勝利をおさめた日本を率いていたエディーさんです。
イングランド初の外国人ヘッドコーチです。
落ち込むイングランド選手たちに、規律を重んじて、チームのために一つになるというラグビーの基本スピリットに戻るように指示します。
自信を取り戻したイングランド代表は、エディーさんの就任後一年で6ネーションズで全勝し、復活の兆しを見せます。
そして、今回、見事にニュージーランドを撃破し準優勝を遂げます。
世界から称賛される名将 エディー 勝つための戦略
エディーさんは、前述したとおり、コーチになる前はオーストラリアの私立学校で教師をしていました。
そのときに大事にしていたことは、「生徒一人一人に合わせたアドバイスをすること」
これは、日本代表でも、イングランド代表でもエディーさんがしてきたベースです。
教師時代の礎がコーチとしての基礎になっていたのですね。
もうひとつ、彼に影響を与えたのは父の言葉だったそうです。
「GO ゆっくり」
焦ってはいけない、一度にたくさんのことをやろうと思わずに、何から始めるのか、一度整理してから進めなさいという意味が込められているそうです。
それを実践してきたから、かれはあらゆる場面で冷静に分析し戦略をたてることができるのでしょう。
世界から称賛される名将 エディー 勝つために必要な3つのこと
エディーさんが日本代表でも、またイングランド代表でも実行していた「勝つために必要な3つのこと」があるそうです。
1.明確な目標を持つ
2.それを実行するための計画を立てる
3.そして選手それぞれの適性にあった能力を引き出す関係を作る
日本人とイギリス人ではその体格も性格もまるで違いますが、エディーさんは3つの大切なことを実践することで、結果を出してきたのです。
ラグビーは紳士のスポーツといわれ、試合後に相手をリスペクトする姿が日本中の感動を呼びました。
そのなかでも、選手一人ひとりの適性を理解し、強さを引き出したエディーさんはやはり、世界が称賛するに値する名将なのですね。
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