
花火といえば夏の風物詩ですが、冬だからこそできる花火があるんです。
それは【スボ手牡丹】。
小さいころからおなじみの、線香花火のひとつですね。
ここでは、冬に作られる【スボ手牡丹】について、また、東西で異なる線香花火の秘密について調べてみます。
【スボ手牡丹】の芯は”藁”だった!
ところで、【スボ手牡丹】って聞いて、ピンときますか?
いわゆる”線香花火”なんですが、こんなやつ↓です。
手持ち花火の代表格ですね。
子どものころもみんなでワイワイ楽しくやりましたけど、大人になってからやる線香花火は、どこか切ない感じがあって、”あ~、夏も、もう終わるんだなぁ”なんて感傷に浸った記憶のある方もいるんじゃないでしょうか。

そうそう。なんかパチパチはじける感じが切なくなるよね。

つい。じーっと見ちゃうよな。
この【スボ手牡丹】、なぜ冬に作られるのでしょう。
この答えは【スボ手牡丹】の400年の歴史をさかのぼるとわかります。

えっ400年!? 400年前って江戸時代じゃないの?
そうなんです。
もともとは、江戸時代の女性たちが香炉にたてて遊んでいたんですって。
だから”線香花火”なんですね。

”香炉”って何?

ほら、お香なんか焚くときに使うじゃない。なかに香炉灰をいれて、お香を立てるやつ…

ふーん、仏壇のお線香立てるやつか?

…まぁ、そうだね。
香炉に立てて遊んだということからもわかるように、花火の芯自体にそれなりの強度がないと立てられませんよね。
この芯が”藁”でできているんだそうです。
もっとも、現在の稲作で出る藁は品種改良が進んだりして、江戸時代のころのもののように強くはないらしく、現在制作している花火屋さんでは【スボ手牡丹】に合う藁を作るために試行錯誤しているそうですよ。

花火を作るために、稲を育てるのか…。すごいな。
お米を収穫した後の”藁”で作る【スボ手牡丹】。
だから、『冬にできる』花火なんですね。
空気の澄んだ冬に、がっつり厚着をして【スボ手牡丹】の光を楽しんでみたくなりませんか?
線香花火は東西で違った?

ところで、線香花火ってさ、紙を撚って作ったのもあるよね。

あるね。最後に火の玉がポトンって落ちるやつね。
こんなの↓
”線香花火”といえば、こちらのほうを思い浮かべる人も多いですよね。
こちらの線香花火は【長手牡丹】といいます。

さっきまで見てた【スボ手牡丹】とはぜんぜん見た目が違うよな。

そうだね。
【スボ手牡丹】は香炉に立てて遊べるように花火の芯が固い”藁”でできていましたが、こちらは紙を撚って作らていますよね。
【スボ手牡丹】は、もともと関西で主に楽しまれていたそうです。
それがだんだん関東にも広がっていくのですが、昔は関東ではあまり稲作が盛んではなく、あまり稲わらが手に入らなかったんですって。
その代わり、紙漉きが盛んだったので、藁の代わりに火薬を紙に包んで作られたそうですよ。

【長手牡丹】のほうが花火が長持ちするけど、最後の火の玉がポトンて落ちる瞬間が、なんだかさみしくてさ。夏の終わりって感じがするんだよね。

なにセンチメンタルになってんだよ。
冬の線香花火 まとめ
夏の代名詞ともいえる花火。
その中でも手持ち花火の代表格の”線香花火”には、藁を使った【スボ手牡丹】と紙で作った【長手牡丹】があります。
それぞれに違った美しさがあるけれど、その成り立ちなんかを知ると、400年の昔にも思いを寄せてみたくなります。
冬にできる【スボ手牡丹】。
寒い冬だからこそ、やってみませんか?
(防寒はしっかりね。)