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子どもと一緒に山歩き 沼山峠から大江湿原、尾瀬沼に行こう!

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 今回は、福島県桧枝岐村の御池から尾瀬沼へ向かうコースを紹介します。距離も長くなく、木道も整備されているので、小さなお子さんも元気いっぱい歩けますよ。

PART2:沼山峠から大江湿原、尾瀬沼へ行こう!

 沼山峠は会津高原を出た会津鉄道バスの終点になっていて、鳩待峠についでアクセスしやすい入山口です。御池・沼山峠間はマイカー規制されているので、車で行く場合は手前の御池駐車場に車を止めてバスに乗ります。一番お手軽に湿原を楽しめるコースだと思います。

沼山峠から大江湿原へ

 沼山峠に着いたら、トイレを済ませ身支度を整えて石の転がる大きな木の階段を登っていきます。樹林帯を進むので、うっそうとした森の中を歩くことになります。初めは比較的急な登り。視界が遮られているし、ちょっと息が上がりますが、木道のおかげで比較的快適に歩くことができます。

2019.6.1の沼山峠

 ただ、沼山峠は入山口でも標高1,700m近くあり、雪の多い年は多くのハイカーが訪れる6月中旬でも雪が残っていることがあります。木道が雪で隠れていることもあるし、濡れた木道はよく滑るので、滑りにくいソールの靴を準備し、注意して歩きましょう。

 樹林帯の中を30分ほど登っていくと緩やかに下りはじめ、右手にベンチのある沼山峠展望台があります。ここでは林の向こうにこれから目指す尾瀬沼が見えます。目標が見えることで、より期待が高まりますね。

 ここからはひたすら木道を下っていきます。両側に笹が茂っていますが、その中にもゴゼンタチバナやイワナシ、リュウキンカやイワカガミなどの植物を見つけることができます。ちょっとした宝探し気分です。

 薄暗い林を抜けると、目の前がぱっと開け、大江湿原に出ます。

大江湿原から尾瀬沼へ

 尾瀬沼に向かって伸びる大江湿原は尾瀬のなかでも花の宝庫です。ミズバショウをはじめ、リュウキンカ、ワタスゲ、ニッコウキスゲ、ハクサンチドリ、ヒオウギアヤメにヤナギランなど次々に咲き誇ります。季節ごとに咲く花々を楽しみましょう。

 少し進むと左に小渕沢田代に向かう道があり、その分岐には小さなテラスがあります。尾瀬ヶ原もそうですが、大江湿原も木道歩きでは日差しを遮るものがなく、紫外線も強いです。林の中を歩いているときはそうでもなくても、日差しを浴びて汗ばむこともあります。衣類を調整したり、水分を補給したりはこまめに行いたいところです。こんなベンチのある場所で、小休止がてらコンディションを整えましょう。

 その後、木道は左に曲がっていき、大江川を渡ります。

 澄んだ川の水に日差しがきらきらと踊ったり、小さな魚が泳ぐのも見られます。リュウキンカやミズバショウもこの川辺に咲いていますよ。

中央の三本唐松、見えますか?

 大江湿原から尾瀬沼に向かっていくと沼の手前、沼尻へ向かう木道(尾瀬沼北岸道)のそばに三本の唐松が立っています。通称「三本唐松」と呼ばれていて(そのまんまやんか)大江湿原のシンボル的な存在です。これはこの地に多くの伝説を残している尾瀬中納言ゆかりの尾瀬塚(つまり尾瀬氏の墳墓)と言われています。

 このまま沼尻休憩所の方へ向かってもいいのですが、トイレ休憩もかねて尾瀬沼東岸へ寄っていきましょう。

 尾瀬沼東岸は尾瀬沼ビジターセンターや尾瀬沼ヒュッテ、長蔵小屋や売店などがならび、にぎやかな場所です。尾瀬沼ビジターセンターでは季節の花の情報や道路状況など教えてくれていますが、「オコジョ発見証」なるものを発行してくれます。これは、ハイカーがオコジョを目撃して届け出ると、発見日を記載してくれるものです。私はまだ見たことがないけれど、比較的早い時間に見かけることができるそうですよ。

 そして、沼岸に出ると雄大な燧ケ岳の姿が見えます。大きな山の下に広がる森と湿原、その手前の沼を見ていると、大きな自然に抱かれていることを実感できます。

沼尻休憩所でお昼にしよう。

 尾瀬沼東岸で一休みして、雄大な燧ケ岳を眺めたら、尾瀬沼北岸道への分岐まで戻り、北岸道を進みましょう。三本唐松を左にみながら進むと間もなく木道は登りとなり、樹林帯に入っていきます。

 しばらくうっそうとした林の中を進みますが、ここも足元に目をこらして歩いてみましょう。

 ゴゼンタチバナやサンカヨウ、ギンリョウソウなど珍しい花が咲いています。途中の小さな水辺ではサンショウウオの卵を見つけたりします。わくわくが止まりません!

 途中、浅湖(あざみ)湿原があり視界が開ける場所がありますが、ほぼ林のなかを歩き、右手に大きな燧ケ岳を見れるように開けてくると、左手には尾瀬沼湖畔が間近に迫り、沼尻休憩所があります。

 ここでは湧き水で淹れたコーヒーやおにぎりなども売っています。沼の間近までデッキがあるので、ここでお昼ごはんにしましょう。沼から吹く風がとても気持ちいいですよ。

新しい沼尻休憩所

 沼尻休憩所は数年前に火事で焼けてしまいましたが、現在は新しく建て替えられています。ここにこうして建物があるとやっぱりほっとします。休憩所のおじさんはコーヒーを渡してくれながら、周辺の木道の状況なども教えてくれるので、行先の情報収集もできますよ。

 さて、子どもさんと一緒だとここから戻っていくのが時間的にもちょうどかと思います。このまま沼を一周すると雄大な燧ケ岳を眺めながら沼のほとりの道を歩けるのですが、沼の南岸は木道が崩れているところもあったりします。アップダウンのきつい場所もあるので、もう少し大きくなるのを待ちましょうか。

尾瀬での学び

倒木更新

 倒木更新とは… 寿命や強風などで倒れた古木を礎として、新たな世代の木が育つこと。

この根っこの隙間に倒木があったのだ。

 木が自然に種から芽をだし、成長していくのは一体どれくらいの確率なんでしょうか。毎年数多くの種がこぼれるはずなのに、ほとんどの種は発芽することすらできません。運よく発芽したとしても周囲の植物のせいで十分な太陽光を浴びることができず、また、土壌菌などに負けてしまい成長できません。が、倒木の上に運良く落ちた種は成長していくことができるそうです。

このちっちゃな木の赤ちゃんが育っていく。

 倒木の上は、草などによる日照不足を緩和できるうえ、雑菌も少なくて共生する菌が繁殖できるからなんだそうです。さらに、朽ちた倒木自体が養分を供給してくれて、表面に生えた苔がスポンジ状になって、湿度を適度に保ってくれているのです。

 尾瀬の樹林帯ではこの様子をよく見ることができます。根っこの部分に大きな空洞のある木、倒木の苔の上に芽をだした小さな赤ちゃんの木。可憐な花ばかりでなく、こういった木を観察することも面白いです。

鹿対策

 一時期、尾瀬ではニッコウキスゲの群生があまり見られなくなりました。

 鹿による食害のためです。

 鹿はニッコウキスゲの花芽が大好物。ニッコウキスゲが咲く時期になると毎夜その花芽を食べにやってきます。そのために、あの鮮やかな、黄色いじゅうたんを敷き詰めたような花がぽつぽつとしか見られなくなってしまったのです。

 そして今、湿原の手前の林のなかに、鹿よけの柵が設けられています。

 この柵や尾瀬にかかわる人たちのおかげで、現在は少しずつニッコウキスゲの花も復活してきています。

 しかしながら、木道を歩いている中で急に出てくるその人工物は、やはり、とてつもない違和感を覚えます。

 尾瀬をはじめ、ほかの山へ行くときも、自然の中に「お邪魔させていただく」気持ちで出かけるように心がけていますが、こういった構造物をみると自然や動物と人間の共存は難しいのだなと感じます。だけれど、こうして自然のなかに入り、動植物の息吹を身近に感じることで、子どもたちも、もちろん親の私たちも自分のすべきことを考える小さな一歩になるのではないかとも思っています。知らなければ何も始まらないですものね。

さて、次回は一般的な尾瀬のイメージとは一味違う尾瀬歩きをご紹介します。

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