新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。
中国・武漢を発生源とするこの感染症は、いまや世界中の脅威になっていますね。
この日本でも、緊急事態宣言を経て、通常の生活に戻れるかと思った矢先、第二波ともとれる流行が日に日に大きくなってきています。
東京では感染の警戒レベルを4段階の最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げています。
感染の中心は若者で、その多くは無症状や軽症だといいますが、ここにきて気になる話題が出てきています。
それが、後遺症の存在です。
治っても後遺症?その症状は?
朝日新聞デジタルによると
4月上旬に新型コロナウイルスに感染した千葉県の10代の男子学生は、発症から3カ月以上が過ぎたいまも、熱や頭痛、だるさ、胸の痛みが残り、湿疹が不定期に出る。
朝日新聞DEGITAL
この学生は感染の発覚当初、病院のベッドに空きがなく、20日間の自宅待機を経て入院、約2週間の治療をへて退院しています。
しかし、その後も不調が続き、6月に再入院。
現在は退院していますが、症状は残っており、症状がつらくなると受信する日々を送っているそうです。
健康とは程遠い状態に、親の介助を受けて生活する大学生もいます。
検査を行っても、特段の異常は見られず、「コロナ後症候群」と名付けられています。
イタリアからの報告
6月、2月末から3月にかけて大規模な新型コロナウイルス感染症の流行に見舞われたイタリアから「コロナ後症候群に関する報告」がありました。
これによると、新型コロナから回復した後(発症から平均2ヶ月後)も87.4%の患者が何らかの症状を訴えており、特に倦怠感や呼吸苦の症状が続いている方が多いようです。
そのほかにも、関節痛、胸痛、咳、嗅覚障害、目や口の乾燥、鼻炎、結膜充血、味覚障害、頭痛、痰、食欲不振、ノドの痛み、めまい、筋肉痛、下痢など様々な症状がみられるようです。
そして、複数の症状が残っている人も少なくなく、4割もの人が生活の質が低下しているといいます。
この報告自体は、イタリアの1施設からの報告で、研究への参加人数も少ないことから、ある程度の偏りはあるのかもしれません。
今後のさらなる研究を俟ちたいところですが、後遺症があるのは間違いがないことのようです。
中国からの報告
中国の孫文大学第五附属病院の報告によれば、退院後一か月後も、半分以上の人が呼吸器になんらかの異常があるとしています。
とくに重症であった患者さんには肺機能の低下がみられるようです。
味覚や嗅覚の異常
味覚や嗅覚の異常も新型コロナウイルス感染症の特異的な症状ですが、こちらの報告もあります。
発症から4週間後には約半数の人たちが味覚や嗅覚が完全に戻っているとしたものの、約4割の人は完全には良くなっていないが改善しているとし、残りの1割の人が味覚・嗅覚の異常が続いているもしくは悪化していると答えています。
脱毛も?
なかには「毛が薄くなってきた」という方もいるそうで、海外からの報告もあるんだとか。
脱毛はエボラ出血熱やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの感染症の後遺症として見られることがあるようですが、新型コロナウイルス感染症でもあるようですね。
なぜ後遺症があるの?
新しい病気なだけに詳しいことはまだわからないようですが、原因について感染症や呼吸器の専門家は、肺線維症のほか、血栓形成やウイルスの臓器残存、ウイルスが侵入した時の異常な免疫反応ともいえる「サイトカインストーム(免疫暴走)」など、さまざまな要因を指摘しているそうです。
新型コロナウイルス感染症だけでなく、デング熱やエボラ出血熱などの感染症にもさまざまな症状の後遺症がみられることが知られています。
ウイルス感染によって免疫のバランスに異常が起きることが関係するのではないかと指摘する報告もあるそうですが、これも詳しくは未解明のままです。
厚生労働省でも調査を開始
こうした実態をうけて、厚生労働省は8月から元患者2千人を対象に、その後遺症状について調査を始めるとしています。
また、日本呼吸器学会でも、肺機能の低下を中心に陰性後も続くさまざまな症状について実態調査をすると発表しています。
こうした調査や研究がこれからの新型コロナウイルス感染症の治療などに役立つことを祈るばかりですが、何よりもかからないことが一番。
手洗い・消毒などの予防策に加え、人ごみを避けたりするなど「新しい生活様式」を守って生活したいですね。
コメント