富士山

子どもと一緒に山歩き 日本が誇る世界遺産 富士山に登ろう!!

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富士山。万葉集に詠まれ、葛飾北斎の富岳三十六景にも描かれるなど日本人の心に日本を代表する風景としてしっかり刷り込まれている富士山。世界遺産に登録されてからはその人気もさらに上がり、登山者も多くて、ご来光前は頂上付近で大渋滞が起こるなど物議をかもすこともありますが、やはり日本人なら一度は登ってみたい山ですね。小学生二人と登った珍道中をお伝えします。

いざ富士山へ。吉田口から頂上をめざす。

 富士山には4つの登山口があります。山梨県側の吉田口(河口湖口)、静岡県側の須走口、御殿場口、富士宮口です。それぞれに特長がありますが、今回はもっとも人気のある(混雑する?)吉田口からのぼります。

 吉田口を選んだ理由は山小屋が多いことです。ながながと続く登りで山小屋があることで標高を挙げてきている実感がわくかな、という点と、休憩しやすいこと、万が一の緊急時に頼れるなということを考えました。

 そして、子どもたちと相談し、御殿場口へ降りる計画をたてました。

0日目:五合目に泊まる。

 家をでて、しばらく高速を走り、目指す富士山が大きく見えてくると、目的地はもうすぐです。車を富士吉田IC近くの富士山パーキング(旧:山梨県立北麓駐車場)に止め、忘れ物がないか確認し、荷物を持ってシャトルバスに乗り込みます。

 そして富士スバルライン五合目(吉田口五合目)に到着です。大きな建物がたくさんあって、とても山の中腹にいるとは思えない雰囲気です。

 ここ五合目は富士山に登る人ばかりがいるわけではないので、スカートにハイヒールの女性やサンダル履きの人もいたりします。バスがつぎつぎに到着し沢山のひとが降りてきます。登山口というよりは観光地ですね。

 我が家はここ五合目の山小屋で一泊することにしました。高度順応のためです。

高度順応とは

 2,000mを超えるような高い山を登るとき、一番恐れるのは「高山病」です。高山病は急に高地に行くことで起こります。低圧・低酸素に体が慣れずに、酸素不足からいろいろな不調が生じます。頭痛や吐き気、倦怠感、睡眠障害などが主な症状ですが、ときに重症化すると脳浮腫や肺水腫を引き起こし、命の危険のある怖い病気です。場合によっては1,500m程度でも発症するそうです。

 その予防のためには、五合目で1時間程度高地に慣れると良いといいます。

 じつはこの前年が、長男が富士山へ行きたいと言った年でした。隣の市の青年会議所が募集した「親子富士登山ツアー」に参加したのです。お昼ごろ須走口に着き、昼食をとって高度順応のために一時間ほどゆっくりし、登り始めました。参加する親子20組ほどを、山岳ガイドの方と青年会議所の方10名ほどが引率しての登山でした。午後7時ごろ七合目の山小屋に着き、夕飯を食べて仮眠。12頃出発して山頂でのご来光を見るという計画でした。うちの長男はスポーツをしているわけでもなく体力がなかったので、山小屋で仮眠をとった後、歩き出すことができませんでした。高山病ではなかったのですが、疲労と寝不足のために登れなかったのです。朝まで眠ったら、下山は人一倍元気に降りることができました。今回は初心者の母と子ども二人の登山なので、前年の経験を踏まえ、とにかく安全と体力を最後まで持たせることを優先に考えて、五合目で一泊し、しっかりと体を山に慣れさせることにしました。

ここで一泊しようと思うと、時間にかなり余裕があります。名物の富士山噴火カレーを食べたり、お土産屋さんをのぞいたりしました。

 

もう一つの課題

 我が家には富士山にただ登るだけでなく、もう一つミッションがありました。

 長男の自由研究です(笑)。

沸騰するお湯の温度を測る。

 山に登ると標高が上がるにつれ気圧が下がりますね。その現象を検証しようという実験をしました。①水の沸点を調べる。②お菓子の袋やペットボトルがどうなるか観察する。の2点が主です。五合目、六合目、七合目…と各山小屋の近くで休憩し、実験しました。まず、はじめはここ五合目です。

 また、たくさんの建物の先に行くといよいよ登山道に入りますが、その手前に小御嶽神社があります。ここで登山の安全をお祈りしました。そして宿に戻り、明日に備えます。五合目で泊まる人はそんなにいなくて(笑)、大きな畳の部屋にほんの数組でした。好きな場所に陣取り、布団に入りました。

 

一日目:五合目から八合目の山小屋まで

 さぁ、出発の日です。 身支度を整えて朝ご飯を食べたら五合目(2,305m)を出発です。

出番を待つお馬さん

 登山口の入り口には馬が何頭かいます。ここから六合目までの登りを馬に乗っていくこともできます。間近で見る馬は大きいですね。

下山者とすれ違い

 五合目から六合目までは比較的なだらかな道が続きます。途中、背の高い木が道路脇に並んでいて視界の悪い場所もあります。なだらかだからと言ってペースを上げすぎると後できついので、ゆっくりと三人で話をしながら登ります。なにせ、朝出て、夕方3時くらいまでに着けばいいと思うと気持ちにも余裕があります。この辺りは、下山道の異なる吉田ルートでも双方一緒になるので、早朝に山頂でご来光を見たであろう人達と多くすれ違います。ちょっとお疲れ気味でしょうか。

 そうこうしているうちに六合目(2,390m)に到着です。要塞のような建物があります。

溶岩が多くなり、火山の山だと痛感。

 ここを過ぎて七合目を目指していくと、徐々に溶岩の小石や大きめの岩が目立つようになってきます。道も少しずつ急になり、九十九折りの道になってきます。私たちは実験をしながら登ったのでかなりのんびりでした。その都度水分補給し、行動食を食べて進んだので、脱水も「しゃりばて(糖分不足による疲労)」も起こさず目的地の八合目の山小屋までたどり着けたと思います。

手にもってるのが金剛杖。

 そしてもう一つ、子どもたちのモチベーションアップのために購入したのが「金剛杖」。何のことはない木製の杖ですが、各山小屋で200~300円で焼き印を押してもらうことができます。子どもたちはスタンプラリー感覚で楽しみました。山小屋も結構な数があるので、子ども二人分となると金額もかさみますが、このおかげで次の山小屋をめざして歩くことができ、楽しめたと思います。

 一日目の私たちのゴールは八合目の「元祖室」という山小屋。3,250mです。900m以上の標高を登り、途中で雨も降りましたが、笑顔でたどり着くことができました。ここでゆっくりして明日に備えます。

山小屋の過ごし方

 山頂でご来光を見ようとすると、深夜0時ごろには山小屋を出なければなりません。でも、前年の反省から山頂でのご来光にはこだわらなかったので、ゆっくりと休むことにしました。(そもそも、ご来光を見るための渋滞にあい、山頂まで間に合わないこともあるそうで…)。山小屋にも早い時間についたので、荷物を整えたり汗でぬれた下着を替えたり、のんびりおやつを食べたりして過ごしました。

 富士山の山小屋では混雑時期には畳一枚分に二人で寝る、などの話をよく耳にします。それに近いことももちろんあります。でも、ここ元祖室ではロフトになった2階部分のちょっとした壁で仕切られた区画を三人で使うことができたので、広いとは言えないけれど十分だったと思います。

 そして、夕飯はカレー。カレーを出す山小屋が多いようですが、なかにはハンバーグなんかを出してくれる山小屋もあるようですよ。

 夕飯のあとは早めに就寝。

 とはなかなかいきませんでした。次男がなかなか寝付けず、しまいにはぐずりだす始末。はじめての環境とざわざわする小屋、ここまで登ってきた疲れ、そして酸素の薄さ…。疲れていて眠いのに眠れないことでイライラしていました。

 防寒着を着て外に出たり、温かい飲み物を飲んだりして落ち着かせ、細切れながらも眠ることができました。

 中には、高山病になってしまったお子さんもいて、夜中を過ぎたころから嘔吐を繰り返しているようでした。おじいちゃんおばあちゃんと来ていたようですが、山小屋のスタッフに促され、朝が来ると荷物運搬用のブルドーザーで下山していきました。

 じつは就寝中は高山病のリスクが高まります。眠っているときは酸素を取り込む量が減るからです。なので、寝る前までなんともなかった人が寝ている途中で具合が悪くなることは珍しくないことです。

間もなく日の出。

 なんとか一晩過ぎて翌朝。私たちは山小屋前でご来光をみました(長男は寝ていましたが…(笑))。吉田ルートは山梨側、富士山の北側から登り始め、東斜面を登っていきます。そのために七合目以降の山小屋であれば大抵の場所からご来光を拝むことができるのです。山頂からのご来光に拘らない理由はここにもありました。

二日目:八合目から頂上、そして下山

いいお天気のもと、出発。

 ご来光をみて、しばらくゆっくりしたら、身支度を整えて出発です。

 本八合目にくると須走口と合流し、また、山頂からここまでは下山も一緒なので、混んでいます。すでに、山頂でご来光を拝んできた人たちが下山してきます。が、私たちはマイペースで。

 八合目で泊まり、本八合目(3,360m)を過ぎ、次にくるのは九合目ではなく八合五勺(3,450m)。どこまで続くんだ?八合目…。

岩ゴロゴロ。

 八合目の途中から砂と石の道に変わり、その後九合目を過ぎると大きな岩がゴロゴロする道になります。ここを越えるともうすぐ山頂です。

 九合目と山頂前に鳥居があります。九合目の鳥居は迎久須志神社、山頂の鳥居は浅間大社奥宮のものです。

 富士山の山頂は私有地です。本八合目より上は富士宮市にある「富士山本宮浅間大社」の境内になっているのです。山頂にはこの浅間大社の「奥宮」と奥宮の末社の「久須志神社」があるのです。

 そんなこんなで頂上にたどりつきました。

 山頂では牛丼やうどんを食べ、そのあと、例の実験をしました(笑)。

 山頂は大きな火口があり、その周りを歩くことができます(お鉢巡り)。私たちはこれを半周だけして、富士山頂郵便局に寄りました。ここでは特別なスタンプを押していただけます。まえもって、あて名を書いたはがきを用意し(文字を書く余力がないかもしれないと思ったので…)スタンプを押して投函しました。、そのあと、御殿場口へと降りていきます。

 富士山でやってみたいことのひとつが「大砂走」。

 御殿場口では砂の多い下山道を駆け降りることができます。一歩で3メートル進むといわれるくらいです。これをやりたいがために御殿場口から下山することを選びました。

 はじめは石の多い道ですが、七合目にある「日の出館」という山小屋に着いたら、休憩をして、砂走用に厳重(笑)な身支度をします。

かなり怪しい人物…。

 砂地を駆け降りるので、砂ぼこりが半端ないからです。

 帽子、サングラス、フェイスガード、レインウエアにスパッツ、ザックには雨除け。完全防備で臨みます。

 

 ほんと、面白いように進みます(笑)。山頂までの一歩一歩、七合目まで降りるときの慎重さ。すべて忘れるくらい、ほんとに走れます(笑)!

 そうして大砂走が終わると間もなく終点。大石茶屋に着き、一服です。子どもたちはかき氷、私はビールで無事に富士登山を終えたことを祝いました。

 その後はバスに乗って富士吉田駅まで行き、もう一泊してから帰路へ着きました(なにせ遠いので…)。

 前の年の反省があったから、ゆっくりと余裕のある計画を立てられたこと、子どもたちが楽しめる要素を盛り込んだこと、計画を立てる段階から子どもたちにも「これをしたい、こんな風に登りたい」と自主的に参加させたことが無事に登山できたコツかもしれません。

 「富士山に登らぬバカ、二度登るバカ」という言葉があるそうです。やっぱり一度は登りたい!そして、じつは次男が疲れていて剣が峰まで行けなかった我が家。その忘れ物をとりにもう一度登りたいなぁと思っているのです。

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