オーストラリアの観光名所の一つ、エアーズロックへの登山が10月25日夜から恒久的に禁止されました。
日本人観光客にも人気のあるスポットの一つですね。
登った方も多いのでは?
今回は、閉鎖になった経緯や先住民アボリジニとの関係について調べてみました。
登山禁止 エアーズロック閉鎖
エアーズロック閉鎖について、yahoo!ニュースではこのように伝えています。
オーストラリアにある世界最大級の一枚岩「ウルル(Uluru)」(英語名「エアーズロック、Ayers Rock」)への登山が、25日夜から恒久的に禁止された。登山が最後に認められた同日には、閉鎖直前まで数百人の観光客がウルルに登った。
最後の登山者らは日没までには麓に戻る約束で、国立公園の職員らは入り口の方を一足早く閉めた。
登山禁止はウルルを所有する先住民アボリジニのアナング(Anangu)人が長年求めてきたもので、2017年に発表された。アナング人とウルルとのつながりは数万年前にさかのぼるとされる。
今後観光客らには、ウルルカタジュタ国立公園(Uluru-Kata Tjuta National Park)への訪問が薦められる。同園ではウルルを麓から眺めたり、周囲を歩いたり、文化センターで固有の伝統について学んだりすることができるという。
yahoo!ニュース
アボリジニのアナング人の求めに応じての今回の「ウルル」(「エアーズロック」)の閉鎖。
オーストラリアの人気観光地はなぜ閉鎖されることになったのでしょうか。
登山禁止 エアーズロック閉鎖 そのわけは?
「ウルル(エアーズロック)」はオーストラリア中央部に位置する、世界最大規模の一枚岩。
標高863mで、外周9.4㎞のウルルとその一帯の地域ウルル・カタ・ジュタ国立公園は世界遺産で、自然遺産・文化遺産の両方に登録されています。
ウルルは、この地域を管理しているアボリジニのアナング族の文化・信仰を対象として、世界文化遺産に登録されているのです。
つまり、アナング族にとって「ウルル(エアーズロック)」は聖なる場所であるわけです。
登山禁止 エアーズロック閉鎖 先住民アボリジニとの共生
これまでもアナング族の人たちはこの聖なる場所に登らないでほしい、と観光客に再三訴えてきましたが、登山をする人は後を絶ちませんでした。
ウルルの登山口の前には、「登山は禁止されていません。しかしウルルに登らないことで、私たちの法と文化を尊重してくださるようお願いします」と書かれた看板が立っているそうです。
ウルルのふもとを歩いてこの場所への理解を深めてほしいとも書かれていますが、観光客はこの看板を横目に見ながら、ウルルに登っていくのです。
そして、2017年、ウルル・カタ・ジュタ国立公園の管理委員会は全会一致で登山の禁止を決定しました。
登山禁止 エアーズロック閉鎖 閉鎖前の混雑
恒久的な閉鎖は、今年10月26日と決定されたことをうけて、ウルルは大混雑していました。
今のうちの登っておこうとする「駆け込み客」が殺到したためです。
「登山客は混雑でと肩と肩が触れ合うくらい。非常に危険。」とツイートした地元ラジオ局の記者もいました。
米ワシントン・ポスト紙は、ウルルにインスタ映えを狙って多くの人が押し寄せ、今年話題になった、渋滞を起こしたエベレストのようだ、と伝えました。
登山する人のマナーも大きな問題となりました。
一昨年、一日140人ほどだった登山者は今年7月には500人になりました。
周辺のキャンプ場がいっぱいになり、道路わきで違法にキャンプする人も出ていたそうです。
ごみの不法投棄やウルルでの排泄など、問題は多岐にわたります。
…なんだか、他人ごとではないようにも感じます。
一昔前、いえ、現在進行形でもありますが、日本の富士山も似たような問題を抱えています。
山中で排泄する人が多くいて、山肌の色が変わってしまったことがありました。
また、登山者の増加は、富士山に親しむ人が増えた一方で、山頂でのご来光を見るための渋滞や、弾丸登山などの危険行為、道端に捨てられたゴミなど多くの問題を提起しています。
富士山もまた、信仰の山です。
登山禁止 エアーズロック閉鎖 世間の人の意見は?
ネットでは、こんな意見がありました。
「どこを見渡しても日本人ばかり。ガイドさんによると、訪れる8割が日本人で、アナング族の話を説明しても登るのだそう。尿意が我慢できず用を足したのも日本人。高齢者ほどはりきってしまい、死亡事故にあうのも日本人。同じ日本人として恥ずかしいです。
登山口の入り口の登らないでほしいという注意の看板に、日本語が一番上にきてて、ほかの言語より大きな字で書かれています。日本人が一番迷惑かけてるんだなと思いました。」
「日本の大手旅行会社でも、『登れなくなる前にツアー』を売っていた。登れなくする理由を知って、それを売り出す旅行会社の倫理観をどうかと思った。」
…事実とすれば、悲しいことです。
それぞれの文化・信仰を理解しようとすること、わかろうとすることが、お互いが理解しあえる第一歩と思いますが、自己の満足(景色のいい山に登る、インスタ映えの写真を撮る…)が最優先されてしまう私たち日本人は、世界の中では金銭的に裕福な中にあるのかもしれませんが、その心はどうなのでしょうか。
考えさせられる出来事でした。
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